その他今月読んだ児童書

犬のバルボッシュ (福音館文庫 物語)

犬のバルボッシュ (福音館文庫 物語)

天沢退二郎の名訳そのままで文庫化されました。
少女たちの19世紀――人魚姫からアリスまで

少女たちの19世紀――人魚姫からアリスまで

アンデルセンルイス・キャロルを中心とした19世紀児童文学の評論。人魚姫が男装していたというところから、人魚姫は王子と結婚したかったのではなく、自分が王子になりたかったのだと読みを転倒させているのがおもしろいです。幼児の姿をした年神さまが現れて、子どもに正月にまつわるだじゃれを教えてくれる本です。期間限定の友達が昇天するラストが美しいです。
木かげの秘密 (ティーンズ文学館)

木かげの秘密 (ティーンズ文学館)

第21回小川未明文学賞大賞受賞作。小学校内でいじめのターゲットがどんどん変わっていく様子にリアリティがあっていやらしい。「歯医者になんかならない」というセリフは川島誠リスペクトでは……というのは考え過ぎか。学校内にあるエノキの木に隠された秘密は美しかったです。
少年少女 昭和SF美術館

少年少女 昭和SF美術館

野田大元帥の名言が思い出される本です。
井上洋介図鑑 (らんぷの本)

井上洋介図鑑 (らんぷの本)

この化け物の群れの中にくまの子ウーフがまぎれこんでいるのが笑えます。巻末の著作の年譜をみると、戦後のアングラ児童文学は井上洋介とともに歩んできたのだということがよくわかります。『目をさませトラゴロウ』(1965)『合成人間』(1967)『ちょんまげ手まり歌』(1968)『うすらでかぶつ』『くまの子ウーフ』『砂のあした』(1969)『地べたっこさま』(1972)……。闇が深すぎます。