福岡の老舗和菓子屋を舞台としたYA。
長崎街道、炭坑、町おこしのスイーツイベント、歴史と文化が交錯する舞台設定がよかったです。
転校した先の小学校ではなぜか全校生徒が風船を持たされ、その風船が意志を持つかのようにつきまとってくるという、ミステリアスでとてもおもしろそうな設定の話。しかし、最終的に薄っぺらいお説教に回収されてしまったため、物語のおもしろさも殺されてしまった、もったいない作品になってしまいました。
困窮した母子家庭の子どもを中心とした、シリアスな連作短編集。現代の子どものしんどさをリアリティ豊かにしっとりと描いている良作になっています。ただし、最後に御輿を担ぐことで「生きている実感」を感じさせ、うやむやにいい感じっぽく収めたのは安易ではないかと思いました。
ひどい雷雨のなか家に取り残された幼い
姉弟。いつもはいばっている姉がふぬけになってしまったので、懐中電灯の電池を手に入れるために弟が外へ飛び出していくという話。ユーモラスでリアリティのあるキャラ造形がよく、日常のささやかな冒険が大冒険であったかのように印象に残ります。
細川貂々のイラストもかわいくてよいです。
気の強い小3の姉とおっとりした小1の弟の日常を描いた連作短編集。プチ哲学的な思索が繰り広げられるエピソードが多く、
那須正幹の『タモちゃん』や『ヨースケくん』が髣髴とされます。特に死に対するこだわりが強く、自分は世界の主人公だから自分が死んだ瞬間世界が終わるとか、死んだら最初から自分の存在はなかったことになるとか、興味深い説が披露されます。
『ザ・ギ
バー』の続編3作目。過去の登場人物が集合して盛り上がります。解明されていない謎も多いので、次の完結編でどうまとめられるのか期待されます。