『フローラとパウラと妖精の森2 美しいフェアリーは危険!?』(タニヤ・シュテーブナー)

美しいフェアリーは危険!?

美しいフェアリーは危険!?

「フローラとパウラと妖精の森」第2巻。いままで関係がぎくしゃくしていたフローラとパウラの姉妹が、エルフと関わることでふたりで合作の本をつくるまでに仲良くなったのが1巻までのストーリー。今度はフェアリーの儀式を成功させ、フェアリーの姿も見ることができるようになります。しかし、フェアリーの美しさのみをたたえる物語が世の中に流通されすぎたため、その影響でフェアリーはファッションにしか興味のない役立たずになってしまいました。姉妹は、フェアリーを本当の姿に戻すための活動を開始します。
姉妹が仲良く喧嘩をする話として読めば、とても平和な作品です。しかし少しうがった見方をすると、たいへんディストピア感あふれる物語に見えてきます。
この作品世界では、フェアリーは本来人間に奉仕するための存在であるとされています。しかし、人間のつくる物語の影響を受けるフェアリーは、おしゃれにうつつを抜かして役割を忘れてしまっているということになっています。ということでフローラとパウラは、「正しい」物語を流通させることで、フェアリーを人間に奉仕する存在に戻そうとしました。これって、奴隷に自分の分をわきまえさせるために、物語の力を利用して洗脳するという話なのでは。発想が独裁者やブラック企業の経営者みたいです。