『リライトノベル 坊っちゃん』(駒井和緒)

リライトノベル 坊っちゃん (YA! ENTERTAINMENT)

リライトノベル 坊っちゃん (YA! ENTERTAINMENT)

「名作古典といわれている文学作品を、大胆に書きかえてしまう」という、講談社YA! ENTERTAINMENT「リライトノベル」シリーズの1冊です。
元は『坊っちゃん』のはずですが、主人公がラーメン屋と猫カフェを営んでいる家の息子で、気弱な男子高校生の清(清田清太)という時点で、原型とどめていません。
クラスメイトの名前は文豪のパロディになっていて、いじめっ子の名前が正岡大規と森鳥彦。正岡くんは漱石と仲良かったのに悪役?クラスの女王的存在の名前は、樋口かずはと和泉鏡子となっています。あ、これ、つっこんだら負けなやつだ。
さて、そんなクラスの担任に、転任したばかりの坊ちゃんが就任します。この先生、勝手にクラスの委員を決めたり、唐突に学歴自慢を始めたりと、自由に振る舞います。正岡と森がこんな教師をよく思うわけがなく、さっそくいやがらせを開始します。その内容が、坊っちゃんの趣味のラーメンブログをプリントアウトして黒板に晒すというもの。しかし坊っちゃんは生徒たちの前でラーメンについて熱く語り出し、みんなを煙に巻きます。そんなこんなで坊っちゃんは生徒たちとは信頼関係を築き上げていきますが、今度は教頭の赤シャツに目を付けられ、学校行事の参加を妨害されたりと、クラスごといやがらせを受けることになります。
過大な期待をしなければ、熱血教師ものとして普通におもしろい作品ではあります。ガガガ文庫跳訳シリーズみたいなのを期待している向きにはおすすめできません。