その他今月読んだ児童書

あしたの空子

あしたの空子

『隣の鉄子』に続く、田森庸介勝川克志コンビによるSF作品。未来人が様々な未来アイテムを持ってやってきて、未来世界がアレなことになっているという、これまた懐かしいタイプの楽しいSFになっていました。
怪盗王子チューリッパ!

怪盗王子チューリッパ!

開かない扉があったらハンマーでたたき壊す、パワータイプの怪盗の話。迷宮への入り口が洋服ダンスであったり、宝を守っているのが巨大なドラゴンであったりと、名作ファンタジーを思わせる要素も盛り込みつつ、楽しい冒険が繰り広げられる、文句なしのエンターテインメントになっています。
うたうとは小さないのちひろいあげ

うたうとは小さないのちひろいあげ

ダッシュ!』に続く村上しいこのYA作品2作目は、短歌部小説です。アドバイザーとして笹公人と千葉聡がついていたというのが豪華です。
四年変組 (ものがたりの庭)

四年変組 (ものがたりの庭)

変であること=個性があることを称揚するふりをしながら、勉強をがんばる・友だちと協調しないという個性はかたくなに否定してみせているのは、大人の身勝手な好みで子どものいい個性と悪い個性が切り分けられているという現状を皮肉ったブラックユーモアなのでしょうか。ブラックユーモアでないとすれば、このような欺瞞は子どものための文学にはふさわしくありません。こみねゆらの無駄遣いもいいところです。
それぞれの名前 (文学の扉)

それぞれの名前 (文学の扉)

第55回講談社児童文学新人賞の佳作。
狐物語 (福音館古典童話シリーズ)

狐物語 (福音館古典童話シリーズ)

福音館古典童話シリーズに、レオポルド・ショヴォーの編集・イラストによる『狐物語』が登場しました。レオポルド・ショヴォーのそっけないようでねっとりした白黒のイラストは、弱い者や愚かな者は騙されて殺されるだけという『狐物語』の世界によく合っています。映像作家の視点からショヴォーを評した山村浩二による解説も要注目です。