- 作者: 楠木誠一郎,亜沙美
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2016/10/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ストーカー妖怪との戦いが、悪ガキどものいたずらというレベルで繰り広げられます。鍋を頭にかぶって武装したり、みんなでわいわい言いながら落とし穴を掘ったりする様子の、楽しそうなこと楽しそうなこと。最終兵器がまさに兵器であるという頭の悪さもすばらしいです。
愉快な妖怪バトルが展開される一方で、人間同士の価値観の対立が描かれているところも、この作品の魅力です。ストーカーの手紙を見て「ふつうじゃない」と言った馬琴に、座敷童は「ふつう、ってなに?」と問いかけます。馬琴は「ふつう」はひとりひとり違うものであることは認めながらも、「この真琴という女のふつうは、わしには受け入れられるものではない」として、ストーカーの要求を無視する決断をします。
また、ひきこもり生活を続けたい馬琴と、ひきこもりを外に出したい座敷童の対立も、全体を貫くテーマになっています。悪ガキどもとの交流でいい感じになりながらも、結局「面倒くさい」という行動原理に流されてしまう馬琴のダメさが好ましいです。