その他今月読んだ児童書

ただ、見つめていた (児童書)

ただ、見つめていた (児童書)

夏の海辺でひとりの少女が、家族連れで遊びに来ている少年とライフガードの少年を、「ただ、見つめてい」るという話。呪いをかけられた人形だけを持ち、恐ろしいけだもののいる島に閉じこめれれている女の子のおとぎ話のようなエピソードが、幕間に差し挟まれます。原題は『THE WATCHER』。見るということは、自分をどの位置に置くかということに関わってきます。タイトルの意味がわかる場面は衝撃的です。
ビーおばさんとおでかけ (児童書)

ビーおばさんとおでかけ (児童書)

ピアソン家の三人きょうだいは、傍若無人なビーおばさんと海に行かされてしまいます。おばさんは子どもたちの制止も聞かず立ち入り禁止の島にずんずん入っていきます。その島は生きている島で、ビーおばさんが騒いだことに激怒してあちこちに移動し、兄弟を振り回します。しかしおばさんはまったく動じず、マイペースに事態を楽しみます。リアルでは絶対お近づきになりたくない迷惑人物を安全地帯から笑って眺められるところが、DWJ作品の醍醐味のひとつです。子どもたちに同情しつつも、ビーおばさんの生命力の強さには驚嘆させられます。
まっすぐな地平線

まっすぐな地平線

その夫婦は根本的に価値観が合わないんだから、きちんと離婚させた方がいいと思うけど。
X-01 エックスゼロワン [弐] (YA! ENTERTAINMENT)

X-01 エックスゼロワン [弐] (YA! ENTERTAINMENT)

物語自体はそれほど進んでいないのに、疾走感と焦燥感にあふれた文体のおかげでぐいぐい読ませてくれます。これはもどかしいので、1巻の厚さを倍くらいにしてもらいたいです。
牛乳カンパイ係、田中くん 給食マスター決定戦! 父と子の親子丼対決! (集英社みらい文庫)

牛乳カンパイ係、田中くん 給食マスター決定戦! 父と子の親子丼対決! (集英社みらい文庫)

父親との対決という、少年まんが的に王道の展開で給食マスターへの挑戦を描く第4弾。給食マスターにランクや種別が存在することが明らかになり、今度は『HUNTER×HUNTER』みたいになってきました。レア・フードを収集する秘食マスターである父親は、大人げなく小学生には入手不可能な食材を繰り出してきて、少年まんが的インフレをみせます。それに対し日常に踏みとどまって戦う田中くんという構図は、なかなか熱いです。