『ミッチの道ばたコレクション セミクジラのぬけがら』(如月かずさ)

セミクジラのぬけがら (ミッチの道ばたコレクション)

セミクジラのぬけがら (ミッチの道ばたコレクション)

これこそ幼年を描いた児童文学であるという、説得力にパワーのある作品です。楽しいものを圧縮して配置したデザイン性の高いカバーイラストも目を引きます。
ミッチの趣味は、道ばたに落ちているものを拾ってコレクションすること。探求心の強いタイプの子どもであれば、あるあると共感を寄せられる題材です。子どもにとってセミのぬけがらや変わったかたちの木のかけらには、宝石を同じくらいの価値があります。そんな楽しさを丁寧に描き、金魚鉢に入るサイズのセミクジラを手に入れるという虚構を混入し、豪快に嘘と奇想を増幅していく手つきがあざやかです。