- 作者: 染谷果子,HIZGI
- 出版社/メーカー: 小峰書店
- 発売日: 2019/09/08
- メディア: 単行本
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今度の学校には〈用務員さん〉と呼ばれる守り神のようなジバクレイがいて、妖乃先生も校舎と児童は傷つけないと約束させられていました。ということは、こいつは約束がなければ平気で破壊活動をするわけですよね。子どもに妖怪アイテムの説明をしてからわざと急用を思い出して席を外してそれを盗ませるなど、今回も妖乃先生は安定して悪い妖怪っぷりを発揮しています。
特におもしろかったのは、第3話の「エンジェルのとなり」。天使のような女子の側にいて引き立て役になっている女子の愛憎入り交じった巨大感情が、妖乃先生の妖怪アイテムによってさらに増幅されてしまいます。
恒例の卒業式の場面では、〈用務員さん〉との対話によって妖乃先生の正体の一端が明らかにされます。学校というシステムは、子どもに競争を強いて異物の排除を促すように設計されています。そこからこぼれ落ちたものを救うには、学校の中に異物を組みこまなければなりません。妖乃先生の行動はある意味で復讐であったことが明かされますが、異物としての妖乃先生の存在は、結果的に多くの子どもの助けになっていました。この逆転現象と、「やわらかな心」を奪うことに失敗しながらも、そこに「わたくし」を入れるという逆転の発想に至った妖乃先生のもくろみは、うまく合致しています。
さて、設定の一端は明かされましたが、〈木の民〉〈草の民〉・妖乃先生の背負っている〈重いもの〉など、新たな謎も提示されました。今後の展開が気になるところです。