『おなじ星をみあげて』(ジャック・ゴールドステイン)

ヤコブは宇宙を愛し宇宙飛行士になることを夢みている少年。3人の妹を公園で遊ばせるのが日課でしたが、自分はいつもひとりでベンチに座り宇宙の本を読んでいました。そんなある日、運命の出会いを果たします。自分と同じように3人の弟を遊ばせて宇宙の本を読んでいる少女アイシャ。まさに自分と対になる存在を発見するのです。しかし、親の信仰の違いからふたりは引き離されてしまいます。
ボーイ・ミーツ・ガールの物語としては完璧な作品です。たとえ引き離されても信念を貫いていればやがて道は重なるという希望の物語でもあります。
シンプルで強い物語に、イラストがさらに力を与えています。ヤコブは本を読むため視線を落としているので、初めて見たアイシャの身体の部位は足の指でした。ヤコブはこれをこの上なく美しいものと認識します。やがてヤコブは、さらに美しい隠された星を目撃します。しかしその星は、すぐに苛烈な炎で焼かれてしまいます。
でも、星は負けません。星が星であることをやめさせることはできないということ、これが作中で描かれる最も美しい真実です。