「てんぐのそばや」(伊藤充子)

てんぐのそばや―本日開店 (偕成社おはなしポケット)
てんぐのそばや―本日開店 (偕成社おはなしポケット)」(伊藤充子)
 そばの大好きなてんぐが町に下りてきてそば屋をはじめます。このてんぐにはうぬぼれ屋という欠点があって、自慢をはじめると鼻が大きくなってしまいます。自分は最高のそばを打っているのになぜ客が来ないんだと怒り出す始末です。で、はじめはいろいろうまくいかないのですが、親切な隣人に助けられ、山からも妖怪の助っ人が下りてきて援助を受け、次第に人間たちに受け入れられていくというお話です。
 隣が親切なクリーニング屋のおじさん、もう一人のお隣さんがちょっととっつきにくい薬屋のおばば。このふたりをはじめ魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。そんな人々にもまれながら成長していくてんぐの姿に好感が持てます。異界のものが人間の世界で商売をはじめるという事で、ちょい低学年向けの「魔女の宅急便」といったところでしょうか。でも扱っている題材が「ゴミの分別とカラスの害」の問題だったり、妙に現実的で笑えます。