- 作者: 長新太
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2004/03/11
- メディア: 単行本
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内容はゾウアザラシのいない「なんじゃもんじゃ博士」といったところです。旅先で出会う怪人、オバケ、信じられない自然現象。火山からたこ焼きが降ってきたり、大都会がシンクロナイズドスイミングをしたり、奇想天外な出来事が起こります。本のつくりにも工夫がいっぱいで隅々まで楽しめる一冊です。
印象に残ったのは、長新太の作品にしては殺伐としたシーンが出てきたことです。いきなり「わたし」がおばさんからナイフを突き出されるというものです。そのあとの「わたし」のせりふが「ナニスルノ、ナニスルノ!」ですからすぐ緊迫感はなくなってしまうのですが。実は「わたし」はいつの間にかチーズになっていたというオチ。 自分自身までのがいとも簡単に変容してしまう。しかもそれを当たり前のことのように許容してしまう。これが長新太ワールドの懐の深さです。