- 作者: レモニー・スニケット,Lemony Snicket,宇佐川晶子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 単行本
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今回描かれているのは娯楽を求める民衆の恐ろしさでしょうか。カリガリ・カーニバルのフリークハウスのフリークたちは、フリークといえるほど目立った特徴のない人たちです。両利きの人間が出てきてフリークでございなんていった日には、金かえせというのが正常な反応でしょう。それでも興行主や観客が彼らをフリークだと決めつけ、見せ物にして娯楽とすることが可能になっています。もはや差別の恐ろしさというより、差別のばかばかしさが露呈されています。
相変わらず周りの大人は頼りになりません。フリークたちは恐ろしい運命を前にしてドミノで遊んでいるだけ。味方かと思えたマダム・ルルも、「人が望むものをあたえる」なんていうわけのわからないポリシーをかかげて、ああいう結末を迎えてしまいます。
8巻から次回への引きがだいぶ強引になってきました。まさか○○○があんな事になってしまうとは。でも○○○だったら全然心配ないような気もします。訳者あとがきには「次巻にはあっと驚く人物がふたりも登場する」という情報も載っています。とにかくこんな終わりかたでは次が待ちきれません。次巻はぜひとも年内に出してほしいです。