「ゆうびんやさんとドロップりゅう」(たかどのほうこ)

ゆうびんやさんとドロップりゅう
ゆうびんやさんとドロップりゅう」(たかどのほうこ)
 ふねで釣りに出かけたゆうびんやさんが、ふしぎな島に漂着します。すると彼はだんだん昔のことを思い出してきます。彼は昔この島にきたことがありました。子供時代にふなのりのおじさんから「あおくひかるきれいなたま」をもらい、このたまがある島にはふしぎなりゅうが住んでいるということを聞かされたことがあったのです。その話を聞いた彼は島に行ったのですが、結局りゅうにあうことはできませんでした。
 ふなのりのおじさんから遠いところで手に入れたあおいたまをもらうというモチーフはほとんど「ルチアさん」と共通しています。この作品の発展型が「ルチアさん」だと考えるべきでしょう。違いはあおいたまにはっきりとは毒が混入されていないことです。あおいたまが現在のゆうびんやさんと少年時代のゆうびんやさんをつなぎ、さらに地理的な距離も超えてふしぎな世界に誘うアイテムになっています。
 幼年向けでも「ここではないどこか」へのあこがれを描く高楼方子の世界は変わっていません。強烈な切なさを体験できます。もうひとつ、本作のアピールポイントは佐々木マキのイラストです。ゆうびんやさんとドロップりゅうのかわいいことかわいいこと。