追悼・長新太「なんじゃもんじゃ博士」

なんじゃもんじゃ博士 ハラハラ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ハラハラ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ドキドキ編 (福音館の単行本)

なんじゃもんじゃ博士 ドキドキ編 (福音館の単行本)

 
 なんじゃもんじゃ博士とゾウアザラシの冒険の旅の物語です。「はかせとゾウアザラシがやってきました」で、「アリマシェンカ」で、いろいろなバケモノがでてきます。
 バケモノ達と大自然に翻弄されながらも旅を続ける博士達。何がそうまでして彼らを駆り立てるのか?彼らはあまりものを考えていなさそうに見えます。行動原理は好奇心と食欲。これがあるがままの人間の姿なのかもしれません。
 一方で、別役実による解説では、作品世界に流れる「孤独」が指摘されています。地平線に取り残されたちっぽけな博士とゾウアザラシの姿は確かに孤独を感じさせます。
 博士以外の人間は全く登場せず、絶え間ないバケモノ達との出会いだけが繰り返されます。博士は意図的に人間との交流を絶っているのか、それとも人間とはもう顔を合わせられないようなことをしでかして漂泊の身になったのか。でも博士のお気楽さを考えるとそういう背景があるとは思いがたいです。本当に彼らは何を思って旅をしているのでしょうか?