「ねえちゃんゲキメツ大作戦」(山中恒)

 わたしの世代では読売新聞社山中恒児童よみもの選集版のタイトル、「カンナぶし」のほうがなじみが深いです。前の版には背表紙にあれげなものを丸出しにした素っ裸の少年のイラストがついていたので、非常に手に取りづらかったことを覚えています。
 3人の姉に虐げられている小学5年生の少年フトシが主人公。友達のシンヤに助けられながら何とか生き延びる毎日を過ごしています。
 この作品にはなかなか過激なエピソードがあります。フトシが「のろいのつぼ」というのをはじめるのです。これは、姉にいじめられたときに、その罪状にあわせて残酷な死刑方法を考えて紙にしたため、つぼ(実際はコーヒーのあきびん)に入れておくというものです。顔に靴ずみをなすりつけられたときは、両手両足を縛って靴ずみのはいった大きなバケツに頭をつっこんで窒息死させるという刑を考え、座っている椅子をけっとばされたときは、椅子に体を縛り付けて坂道から転げ落として死に至らしめる死刑の判決を下すという具合です。今読むと別にどうということはないのですが、小学生当時はすごくいけない本を読んでいるような気がしていました。