「真実の種、うその種」(芝田勝茂)

真実の種、うその種 (ドーム郡シリーズ)

真実の種、うその種 (ドーム郡シリーズ)

 夏休みいっぱいかけてゆっくり読もうと思っていたのに、とうとう読了してしまいました。大作を読み終わった虚脱感で、今は多くは語れません。
 ただいえるのは、これが現時点での芝田勝茂の集大成だということです。もはや「ドーム群」は日本を代表するファタンジーだと言い切ってかまわないでしょう。お話はとにかくおもしろい。前半の旅の仲間がどんどん増える展開はエンターテインメントとして完成されています。そして後半観念的になるところも芝田勝茂のお約束です。理想論でなく現実を見据えて平和を模索するメッセージは、今だからこそ力を持つはずです。
 ところで解説でも指摘されていますが、作品世界の文明は巻を追うごとに進んでいます。こうなると、このままでは終われませんよね。ぜひドーム群の「現代」の様子を知りたくなってしまいます。完結編なんていわずに、「ドーム群」の翻訳を続けてもらいたいです。