「ぼくの家はゴミ屋敷!?」(高橋秀雄)

ぼくの家はゴミ屋敷!? (おはなしの森)

ぼくの家はゴミ屋敷!? (おはなしの森)

 一義はばあちゃんと二人暮らし。このばあちゃんが家事も近所づきあいもろくにせず、ゴミをためこむのが趣味という困った人。団地の班長の順番がまわってきたというのに、ばあちゃんはのらりくらりといいわけをして引き受けようとしません。たまりかねた一義は、自分が班長になると申し出てしまいます。
 子供が役割を与えられることで成長するという展開はオーソドックスです。でもこの話でおもしろいのは、ばあちゃんが徹底して厄介者として描かれているところ。敬老精神でちょっとは老人を美化してやろうなんて殊勝さはこれっぽっちもありません。
 あるものをゴミだと思うかそうではないか。この価値観の対立は究極的なものです。歩み寄りを見せるのは困難でしょう。ラストで一義はばあちゃんのゴミを片づけはじめます。それによってお互いの価値観をすりあわせ、コミュニケーションが生まれそうな期待を持たせて物語は終わります。でも、本当に大変なのはこのあとです。このあとの修羅場こそ見せてもらいたかったなあ。