「カードゲームの呪い」(石崎洋司)

カードゲームの呪い―闘わずにはいられない (講談社青い鳥文庫)

カードゲームの呪い―闘わずにはいられない (講談社青い鳥文庫)

 母の田舎、闇部島で夏休みを過ごすことになった小学6年生の智也。島で知り合った美少年進矢と仲良くなり一緒にカードゲームをすることになります。ところが進矢の正体が、島の開発をたくらむ企業、藤原産業の息子だったことがわかります。島の網元である智也の伯父は、進矢と遊ぶことを禁止します。島に伝わる源平の因縁話を絡めつつ、物語は展開します。
 実はこのシリーズの魅力は、いい意味のでバカさにあるのでは。島に伝わる伝承によって智也や進矢の因縁が明かされるのですが、これがだじゃれとオカルト理論で成立しています。たとえば「ひとくい」という不気味な言葉が伏線として出ていますが、最後に実はこれは崇徳院のことであると明かされるという具合です。田中啓文バカミスみたいな感じです。話自体は陰惨なのに、こうしたトンデモさでなごませてくれる石崎洋司のサービス精神に脱帽します。
 カードゲームにしても、源平がテーマのはずなのに一番のキーカードが卑弥呼をモチーフにしたものだったり。アバウトさが非常にいい。