「怪盗るぱんの亡霊 写楽ホーム凸凹探偵団④」(那須正幹)

 今回は前ふりはなしで、いきなり小学校で死体が発見されるという衝撃的な幕開けを見せます。18年前のミルコSS事件に関わった人間が次々と変死していきます。探偵団の乙松さんも怪しい動きをします。乙松さんは本当にミルコ・SS事件の犯人グループ「怪盗るぱん」の一員だったのか……?
 「ミルコSS事件」は「グリコ森永事件」、「怪盗るぱん」は「かい人21面相」をモチーフにしています。迷宮入りした事件の真相に対する一つの想像が提示されています。グリコ森永事件を知っている世代とそうでない世代で楽しみ方が違ってくるでしょうね。
 本作はあえてミステリではなく、サスペンスと銘打たれています。我が身に迫る危険が喚起する緊迫感が全編に漂っています。謎解きよりも、ドキドキハラハラを楽しめる作品になっています。