「おーいででこーい」(星新一)

おーいでてこーい ショートショート傑作選 (講談社青い鳥文庫)

おーいでてこーい ショートショート傑作選 (講談社青い鳥文庫)

 今の小学生はいいですね。青い鳥文庫でも星新一作品が読めるし、理論社のハードカバーで読んでもいい。書店や図書館の児童書コーナーで気軽に星新一に出会えます。わたしが小学生のころは、ドキドキしながら大人向けの本のコーナーに行って新潮文庫をあさっていたものです。
 青い鳥文庫の「おーいででこーい」。収録作は以下のとおりです。

「おーいでてこーい」
「愛の鍵」
「肩の上の秘書」
「服を着たゾウ」
「最後の地球人」
「処刑」
「ボッコちゃん」
「顔のうえの軌道」
「そして、だれも…」
「ある夜の物語」
「午後の恐竜」
「鍵」
「宇宙の男たち」
「羽衣」

 不思議な話、ブラックな話、叙情的な話、ちょいとした美談。いろいろ揃えていて星新一入門編としては手堅いセレクションです。
 「処刑」や「ボッコちゃん」は大きなトラウマを残しそう。
 一方でクリスマスを舞台に善意のたらい回しが繰り広げられる美談「ある夜の物語」も入っていて、バランスがとられています。
 これを読んだ小学生はもれなく呪いをかけられてしまうことでしょう。1000編を越えるショートショートすべてを読破しなければならなくなるという恐ろしい呪いを……。