- 作者: 森下真理,篠崎三朗
- 出版社/メーカー: 小峰書店
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
それぞれの短編で取り上げられた題材を見ると、戦争、朝鮮人差別、盲導犬、日光に当たれない病気(色素性乾皮症か?)、交通事故と、なかなかセンセーショナルなものをもりだくさんに詰め込んでいます。いつものこのブログの論調だと、「安易にあざとい飛び道具ばかり使いやがって」とけなすところですが、今回は判断を保留したい。本作にはその手の作品にありがちないやみさがあまり感じられなかったからです。
情念に訴える表現もあるのですが、登場人物を突き放して描いている面もある。おそらくそのあたりのさじ加減が絶妙にうまいのだと思います。非常に読みごたえのある短編集でした。