「初めてのセ・・・」(さとうまきこ)

4つの初めての物語 (ポプラの森)
 雑誌「日本児童文学」の最新号11・12月号に掲載されている作品です。さとうまきこ、「初めて」シリーズを続けるつもりなんですね。画像がないと寂しいので「4つの初めての物語」の書影を出しておきます。
 小学生男子がこっそり親のパソコンでインターネットにつなぎ、「セ・・・」で検索するという、現役小学生なら身に覚えがありすぎて直視できなさそうなお話です。さすがさとうまきこは目の付け所が鋭い。
 小学校のパソコン教育では、こういう事態を想定した具体的な教え方をしなくてはいけませんね。ブラクラやグロ画像を踏まないように注意するとか、一番重要なこととして、履歴の消し方とか。
 ええ、この男の子、履歴を消していなかったので見事に親にばれてしまいます。恥ずかしすぎる。そのうちこんな体験は、世代の共通体験になるでしょう。
 インターネットやメールというツールを媒介にしているところが現代的です。しかしこの展開を、今の子供はこういったツールを使わないとコミュニケーションができないと否定的にとるか、ツールがあればコミュニケーションができると肯定的にとるかは読者次第でしょう。「なになに*1ができたせいで親子関係が希薄になった」という言説は、往々にして大人の側の責任逃れでしかありません。こういった親子のコミュニケーションの困難さは、普遍的な問題として捉えるべきだと思います。

*1:テレビとか子供部屋とかテレビゲームとか携帯電話とか