- 作者: ヴァンサンキュヴェリエ,Vincent Cuvellier,Charles Dutertre,伏見操
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
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主題は今まで軽んじていた人間と交流を深めていくことなのでしょう。この過程はユーモラスに描かれています。しかしその裏でまさかベンジャマンの両親がそんなことになっていたとは……。
なんというか、語り手のベンジャマンは世界に対して妙に距離を置いている突き放しているところがあります。先に引用したシャルルに対する批評からもわかります。夕食がグラタンだという母親の前でさしてうれしくもないのにはしゃいで見せたりする場面もあります。でも、現実がそれでは、いちいちまともにつきあっていたらやりきれません。多少距離を置いて自分を防衛しないと疲れ果ててしまいます。特に子供には逃げ場がありませんから問題はいっそう切実になります。淡々と描かれているけど、子供が生きている現実の厳しさ、そしてできる限りの手段でそれをやり過ごそうとしている子供の苦労が伝わってきます。