- 作者: 佐野美津男,中村宏
- 出版社/メーカー: 国土社
- 発売日: 1971/01
- メディア: 単行本
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「だけどぼくは海を見た」は、ある朝目を覚ますと家の周りが一面の海になっていてイルカが泳ぎ回っていたという、これまた不条理系のお話です。この状況に一応SF的な解答も提示されますが、これもぶっとんでいて面白いです。
日常への執着と、非日常への憧れと恐怖。急激な環境の変化に主人公はこんな感慨を抱きます。
海はあまりにも美しすぎて、宏幸まで、ふしぎだというかんじをわすれかけさせていた。だけどは、何が何でも不思議だと思いこみたかった。は心のなかで、
「負けてたまるか」
と、さけんでみた。それでも海は、きえることもなく、窓の外に青くひろびろとしていたのだった。