「アイドルはラクじゃない―笑って泣いて呪われて 芸能界デビュー奮闘記」(西川つかさ)

 「アイドルはラクじゃない」の続編。政美とブー子の漫才コンビに、秋田から転校してきた亜希子も加わります。三人は怪しげな芸能プロダクションの社長、綾小路彦磨呂からスカウトされ、お笑い芸人として芸能界へのデビューを目指すことになりました。三人のコーチのついたのが怪しげな占い師の葵。葵は「……みの……が見えた。それにかかわるヤツがダメになる」と、不吉な予言をします。肝心な部分は聞き取れませんでしたが、三人はこの予言にビビりまくります。そしてまるでその予言が呪いであるかのように、三者三様に「みの」にかかわる災難が降りかかってくることになります。はたして三人は無事にデビューを果たせるのか……?
 下品さとお笑いは前作からの使い回しが多くパワーダウンしていますが、それを補うくらい物語がドタバタしていてよかったです。お約束のごとく降りかかってくるトラブルに失敗、しかしそれにめげない主人公たちの友情と努力。サクセスストーリーとしての肝はしっかりおさえています。ただし、おさえるべきところをおさえつつ、予想もつかない展開を見せるのが西川つかさのすごいところです。まさかブー子があんなことになるなんて思いも寄りませんでした。ブー子は新たな力を得ましたが、同時に最大の武器を失ってしまいました。次の巻でブー子が、三人組が、花園麗子がどうなるのか、まったく先が読めません。
 妄想癖があるアホ毛が魅力のヒロイン、政美。父親からお笑いの血を受け継ぐ生粋の芸人ブー子(があんなことになってしまった)。天然ボケの秋田美人亜希子(秋田弁が萌え要素としてポイントが高い)。キャラもますます立ってきて楽しみなシリーズになりました。次は今回あまり出番のなかったドロドロ女花園麗子の活躍もみたいです。