「ママが六人???」(大海赫)

ママが六人???

ママが六人???

 大海赫の新作。「ぼく」の弟のミオと妹のナギサは、ママが多忙でなかなか子供達をかまってくれないので、ママが何人もいればいいと思っていました。そこで、魔術師のポケットくんに頼んで、ママを6人にしてもらいました。6人ママは見分けがつかないので、それぞれ爪に食べ物のシールを貼られ、サンクランボママ、トマトママ、タマネギママ、スイカママ、ニンジンママ、イチゴママと名付けられました。ところがパパは6人ものママを養うことはできないと、くじ引きでひとりのママを選びほかは追い出してしまいます。追い出されたママを追って弟のミオと妹のナギサも家出をします。いろいろあって結局は別居暮らしに落ち着きますが、今度はママたちが奇病に冒されて……。
 「オヤニアマエズヒトリタテ」というメッセージはあいかわらず健全なものなのですが、それでよくこれだけのインパクトのある話を作れるものだと思います。人間がヨーヨーにされて巨大な魔術師にもてあそばれるというイメージの強烈なこと。それにしても、ポケットくんに依頼したのは弟と妹なのに、止めようとした「ぼく」までひどい目にあわされるのは理不尽です。まあ大海赫の世界は因果応報とかは越えたところにありますから、それもやむをえないか。