「ハロルドのしっぽ」(ジョン・ベーメルマンス・マルシアーノ )

ハロルドのしっぽ

ハロルドのしっぽ

 ハロルドはマンハッタン島のストラウスパークに住んでいるリス。人間達にかわいがられ、なに不自由なく幸せに暮らしていました。ところがある日、ストラウスパークにやってきたネズミのシドニィに自慢のしっぽの毛を刈り取られてしまいます。シドニィはハロルドのしっぽをつけて公園でかわいがられますが、ハロルドは無常にも追い払われてしまいます。アイデンティティのよりどころのしっぽを失ったハロルドははじめてストラウスパークから離れ、厳しい世間に出て行くことになります。
 ハロルドは苦労を知らないので無邪気なのですが、自分は優れているから人間にかわいがられるけど、ネズミはそうではないから仕方がないという無意識的な慢心も持っていました。そんな彼が世間の波にのまれ人並みの苦労をし、一人前になっていくさまがユーモラスに描かれています。おぼっちゃまからゴミあさりのネズミへの見事な転落っぷりが笑えます。