「クレーン男」(ライナー・チムニク)

クレーン男

クレーン男

 論評するのが難しい作品です。貨物駅で荷物を捌くための巨大なクレーンを操縦するのが、主人公のクレーンオトコです。彼はクレーンを愛するあまり、決してクレーンを降りようとしません。脳に花が咲いているタイプの友人レクトロと仲良く過ごしつつ、しばらく平和な時が続きます。ところが戦争が起きて町が荒廃し、クレーンオトコはクレーンの上でひとり取り残されてしまいます。そうかと思えば今度は町が水没し、ワシだけを話し相手に孤独な時間を過ごします。
 なんともいえない悠久の時間がたゆたっているのですよ。おそらくいろんな寓意が込められているのでしょうが、言葉で説明できそうにないので、とにかく読んで雰囲気を味わってくれとしかいえません。