「トトの勇気」(アンナ・ガヴァルダ)

トトの勇気 (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

トトの勇気 (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

学校なんて、きらいだ。
この世でいちばん、きらいだ。
ただきらいってだけじゃない。
学校は、ぼくの人生を台なしにしたんだ。

 冒頭からいきなりこれ。主人公のグレゴワールは13歳にして2回も学校から退学処分を受けてしまいました。作中では明言されていませんが、彼はADHDかなんかの発達障害を抱えているようです。周囲の無理解、両親の不仲など多くの困難を抱えながらも、よき理解者であるレオンおじいちゃんに支えられて自分にふさわしい環境を模索していくストーリーです。最後にグレゴワールが自分を受け入れてくれる学校を見つける展開はちょっとおとぎ話に見えてしまいますが、現状ではこの問題は個人の努力でどうにかできる環境が整えられていないので、ご都合主義的な解決に流れてしまうのもやむをえないかもしれません。
 それにしても学校制度の違いがあるとはいえ、フランスではADHDくらいのことで生徒を退学にできるということに驚かされました。