「魔女がいっぱい」(ロアルド・ダール)

魔女がいっぱい (ロアルド・ダールコレクション 13)

魔女がいっぱい (ロアルド・ダールコレクション 13)

  • 作者: ロアルドダール,クェンティンブレイク,Roald Dahl,Quentin Blake,清水達也,鶴見敏
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 単行本
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 ぼうやはホテルで開かれている英国児童愛護協会の集会に迷い込んでしまいます。しかしそこは実は魔女の集会で、ぼうやはとんでもない陰謀を知ってしまうことになります。魔女の薬でネズミにされながらも逃げ出したぼうやは、大好きなおばあちゃんとともに反撃を開始します。
 これは子供が読んだら本気で怖がるのだろうと思います。一見優しそうな大人がいつ豹変して自分に危害を加えるかわからない状況のなかで子供は生きています*1。そんななかで、魔女は頭がはげているからかつらをしているとか、指の爪がないのを隠すために手袋をしているといった情報は面白がられるのと同時に、サバイバルマニュアルとして深刻な受け止められ方もされていると思います。
 そういうわけで全体的にトーンは暗いのですが、ダールらしいユーモアの生きています。先に挙げた魔女の見分け方もバカバカしいです。魔女の集会で大魔女の号令でみんなが一斉にかつらを脱ぐ場面なんかは傑作です。それから、ぼうやとおなじくネズミにされてしまったブルーノくんが徹底してバカで役立たずでおまけに性格も悪いというのもダールならでは。

*1:子供に危害を加えるのがなぜ魔「女」だけなのかというのは疑問ですが