「『ミステリーの館』へ、ようこそ」(はやみねかおる)

 第一部のタイトルは「六月は雨の〆〆密室」。わたしは昨年から夢水清志郎を読み始めましたが、霧舎学園がネタとして出てくるくらいになったので、もうだいぶ最近の作品になってきたような気がします。ゴールは近いか。
 内容は文芸部ネタ。亜衣は早くも文芸部の部長になってしまいました。文化部ならではの地に足のついていない熱さとグタグタした雰囲気がよい感じです。
 本編は「『ミステリーの館』へ、ようこそ」。この話は悪役がよかったです。「名探偵はきらい」と言い放つ犯人。考えてみれば名探偵とは、赤い夢をから読者を目覚めさせてしまう無粋な存在だともいえます。ミステリマニアならこの犯人が提唱する「さめることのない赤い夢の世界」を一度は夢想したことがあるでしょう。赤い夢の理想を体現していて、騒がしいだけのクイーンなんかよりよっぽど魅力的に思えます。再登場しないかな?