- 作者: 宮部みゆき,小鷹ナヲ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: 文庫
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主人公は中一の少年緒方雅男。彼の家族は突然5億円という非現実的な大金を手にします。以前彼の母親が「放浪の相場師」と呼ばれる怪しげな男澤村直晃を助けたことがありました。その男が死んだので、お礼として遺産の5億円が転がり込んできたのです。お金というものは怖いもので、家族に訪れた突然の幸運を世間は許してくれません。家族は世間の好奇の目にさらされます。ただ助けただけでそんなにたくさんの遺産を渡すのはおかしい、母親は澤村直晃とただならぬ関係にあったにちがいないと噂が流れ、母親を信じられなくなった父親は家を出てしまいます。ところがこの父親も潔白なわけではなく、以前から浮気をしており、母親にも雅男にも感づかれていました。お金が触媒となって家族の関係が動き出すことになります。はたして本当に母親と澤村直晃は関係を持っていたのか?だとすると雅男は父親の子供ではなく澤村直晃の子供なのか?真相を探るため雅男は親友の島崎くん(将棋部の期待の星)と調査を始めます。
宮部みゆきですからおもしろさは安定しています。中盤までは少年の冒険が主体で、終盤になってこの一件に隠された陰謀が見えてくる構成になっており、結末にはなかなか意外性がありました。