「アルファベット群島」(庄野英二)

アルファベット群島

 A〜Zの頭文字のついた島々のエピソードが語られるホラ話です。
 例えばEの象島(Elephant Island)はこんな具合に始まります。

この島には、人間の数よりも、象のほうが多かった。
人間と象とは仲よく助けあって暮らしていたので、もめごとも争いごともなかった。もちろん、暴力などふるう人間も象もいなかった。
象が人間の赤ちゃんの子守をしてくれたり、人間が象の針仕事を手伝ってやることもあった。象は針の穴に糸をとおすのが、きわめてへたくそであった。

 象の針仕事って……。こんな感じで淡々とハイセンスな大ボラが語られていきます。