「男子のための恋愛検定」(伏見憲明)

男子のための恋愛検定 (よりみちパン!セ)

男子のための恋愛検定 (よりみちパン!セ)

 理論社よりみちパン!セ」の一冊。伏見憲明による恋愛論および性教育本です。
 「『恋』は犯罪の温床」であるとか「『恋』もほとんどはパッケージ買いだ」とか「セックスしたら死ぬかもしれない」とか太字でインパクトのある言葉を並べています。非常にわかりやすい言葉なので中学生読者にも届きやすいのではないかと思います。まずはじめに「恋愛はつい最近ブームになっただけ」と恋愛の価値を相対化してみせ多様な恋愛観を提示しています。しかし「恋愛資源」という概念を持ってきて、具体的にどうしたらもてるかというレクチャーもしており、実用書の役割も果たそうとしています。はたまた性教育本にもなっています。先に引用した「セックスしたら死ぬかもしれない」というのは、ようするに性感染症のリスクのことを言ってるわけです。こういう脅し文句が有効がどうかは問題ですが、ちょっとここでは書けないくらい具体的なことにまで踏み込んでおり、なかなかしっかりした内容でした。
 難点は最終的に恋愛賛美になっていて、最後の2章はポエムにしかなっていないことです。「思春期の恋心は美しい。なぜならば、すぐに肉体で解消されてしまう快楽よりも、ただ好きだという気持ちがはち切れんばかりにふくれあがっているからだ。」なんて主張は、現役思春期の男子の実感とはかけ離れていると思いますよ。