「ぼくらの家出3days」(さとうまきこ)

 「ぼくらの3days」シリーズ2作目。「4つの初めての物語」から数えれば省吾と雄介の話は3作目です。
 小学校を卒業し、もう小学生ではないしまだ中学生でもない無職の春休み。省吾と雄介は塾の合宿の期間を利用してプチ家出を計画します。限られた予算の中で計画を立て食料を調達する様子は非常に楽しげです。しかし楽しいだけでは終わらず、省吾が雄介にモヤモヤを感じるのがこの作品のおもしろいところです。旅先では出会いがありますが、そこでも真理奈の時と同じように省吾はしらけ、モヤモヤを感じてしまいます。いざというときに大人に頼られるのは雄介ではなく省吾の方なのですが、その事実は省吾にとって慰めにはなりません。「省介くん」あわれ……。
 第2弾も出たので、こうなったら中学生になったふたりも見てみたいですね。中学生になってもふたりは集団の中で浮き続けているのか、それとも変わるのか。ふたりの関係に変化は訪れるのか。