「クローカ博士の発明」(エルサ・ベスコフ)

クローカ博士の発明―ベスコフ童話集 (fukkan.com)

クローカ博士の発明―ベスコフ童話集 (fukkan.com)

 クローカ博士は国で一番の発明家です。ところが博士の息子のペトルスはとんでもないいたずらっ子でした。博士はペトルスのために教育機械の開発をはじめます。試作品を作って子うさぎを五匹入れてみると、一か月後にはすべてのうさぎが同じ外見になっていました。それを見た王様は大喜び。「すてきじゃないか!わしの兵隊も、今みたいに大きいのや小さいのがいるより、みんな同じ背の高さになればいいだろうな!」。
 これは怖い。権力者が教育に向ける欲望が見事に戯画化されています。まず兵隊に応用しようと思いつくところが露骨です。この後ペトルスら手に負えない子供達が教育機械に入れますが、彼らがどう抵抗するかは読んでのお楽しみです。
 作者が1874年〜1956年の人なのでかなり古い作品のはずなのですが、教育に対する辛辣な視点は全然古びていません。