「魔女の宅急便その3 キキともうひとりの魔女」(角野栄子)

 まもなく五巻が出るそうなので、復習しております。
 「魔女の宅急便」は三巻で化けましたね。キキも16歳になり、思春期と青年期のはざまでウジウジグダグダしていて読むのがしんどいです。母親に反抗して薬の調合を自己流に変え、きまりをやぶって仕事のお礼に「おすそわけ」でなくお金を要求し、家庭内ではドメスティックバイオレンスに走る。いい具合に鬱屈しています。
 コリコの町にケケと名乗るどうも魔女らしい正体不明の少女がやってきます。ケケはキキがコリコの町で得た居場所をどんどん奪っていきます。一方仕事の方では、黒い革表紙の気味の悪い本を預かることになります。依頼主に返そうとするのですが、当人はそんな依頼をした覚えはないと言い張り、受け取ろうとしません。本の中を見ると謎めいた言葉が書いてありました。ケケはその本についてなにか知っているようなのですが、あいまいなことしか言いません。
 今回再読でしたが、やはりこの巻の内容は難しく、ケケの存在の意味とか本に込められた寓意とかはわかりませんでいた。しかし青年期の鬱屈の描写は圧倒的で読み応えはありました。佐竹美保のモノクロ映えのするイラストが作品の重苦しい空気によくあっています。
 さて、ラストではとんぼさんがあんなことになってしまい、次巻新展開になります。