- 作者: ジェイン・レズリー・コンリー,おおの麻里,尾崎愛子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 単行本
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むちを惜しめば、子どもはだめになる
このフレーズの出典が電波系の教育書でなくて聖書だということにびっくりです。クリスチャンおそるべし。舞台は半世紀ほど前のアメリカ、ヴァージニア州の田舎町。主人公のドーンはワシントンで暮らす12歳の少女ですが、母親が手術をするため、ヴァージニア州に預けられることになります。そこで子供が日常的に親に殴られているのを目のあたりにして驚愕するお話です。
舞台が過去のしかも田舎に設定されているため、ともすればこの問題は克服されたものであるかのような誤解を与える危惧がもたれます。しかしラストで安易な解決が示されていないので、この問題を現実の問題として語ることに成功していると思います。
児童虐待は深刻な問題ですが、この作品のよさは日常の他愛ない遊びを魅力的に描いているところにあります。みんなで野球をしたり、釣りにいって大ナマズを捕まえたり、年下の少年を縛ってむちでぶとうとしたり*1。冒頭の文章からして引き込まれます。
今夜私は、家畜小屋の二階で寝ている。下では牝牛たちがゆっくり、しっかり息をつき、年とった鹿毛のポニー、スターは、暗い仕切りの中に身を横たえて鼻を鳴らしている。
家畜小屋の二階で寝ることがどんなにわくわくする体験か、田舎暮らしをしたことのない子供にもぜひ伝わってほしいと思います。
*1:これは友達が虐待を受けているという伏線なので違うのだが。