- 作者: 安房直子
- 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
- 発売日: 2006/03/25
- メディア: ハードカバー
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家族を人間に殺され1人で寂しく暮らしているくまが主人公。くまは寂しさをまぎらわせるために音楽を習おうと思い、家の前に「どなたか音楽をおしえてください。お礼はたくさんします。」と張り紙を出しました。やってきたのが北風、続いて北風のおかみさんでした。しかしこの二人はろくに楽器を教えずに、お礼だけ強奪していきます。
最後に訪れたのが北風の少女です。少女はあのひどい親とは似てもにつかないいい子で、くまのためにホットケーキつくり、自然界にある音の楽しさを教えてくれます。くまは少女の話に一時は心が安らぎますが、やがてある疑念を抱いてしまいます。
それがわかるのは、この子がそばにいるからではないだろうか。この子が遠くへ行ってしまったら、また、何も聞こえない、さびしいじぶんになってしまうのではないだろうかと。
少女はすぐに去っていきますが、青いハンカチを忘れていきました。
むこうの世界への憧れ、それにともなう切なさ、さらにむこうの世界との境界が簡単になくなってしまうあやうさ。この作品は初期の方の作品ですが、安房直子のエッセンスがつまっています。昔のままのかたちで復刊されたのは喜ばしいかぎりです。