- 作者: 寺村輝夫,和歌山静子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: 単行本
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王さまだって、だれかさんだって、はじめからやさいがきらいだったのではないのです。なぜ、きらいになったか――。それは、あるうちゅう人のしわざなのです。
うちゅう人は、王さまのからだにふしぎな電波をおくりこみました。やさいがきらいになる電波なのです。王さまを、やさいぎらいにさせて、からだをよわらせて……。これからあとは、まだ、お話するときではありません。
なんと、王さまの野菜嫌いは宇宙人が送ってくる毒電波のせいだというのです。すぐにキバヤシさんに知らせねばっ。このあと王さまを毒殺するために宇宙人の刺客ペエ702がやってきますが、思いがけない結末を迎えることになります。シニカルなオチのついているこの作品は、ショートショートとしても一級品といえましょう。
表題作の「ハアト星の花」は、外来種の脅威を描いた作品なのでしょうか。宇宙人の警告にさからって王さまが星くずを地面に捨ててしまったため、国土は瞬く間にハアト星の花に埋め尽くされてしまいます。きれいな花が増えたので最初は王さまも国民も喜んでいましたが、すぐに食傷してしまいます。その後ねずみ色のくもが現れて花を食べ尽くしますが、今度はくもが増殖して手がつけられなくなります。「テデ トド ルピ タン テデ トド ルピ タン」とおどりながら巨大化するくものイメージは悪夢のようです。