「アーサー王宮廷物語Ⅰ キャメロットの鷹」(ひかわ玲子)

キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉

キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉

 ひかわ玲子によるアーサー王物語。あくまで「宮廷」物語であるところがポイントです。
 主人公は宮廷に仕える少女メイウェル。彼女は鷦鷯(みそさざい)に変身できる特殊技能を持っています。この技能を生かして彼女は諜報活動にいそしみます。有り体にいえば盗み聞き。そういう性格のためこの物語の興味は、あの王子はだれそれとだれそれの不義の子であるというようなゴシップ的なネタに集中することになります。メイウェルは特技を生かすためにタブロイドの記者に転職した方がいいでしょう。
 実績のある作家が長年あたためてきた企画だけあって、キャラクターの魅力や軽妙な会話、盛り上がるべきところはきっちり盛り上がるストーリー、どれをとっても申し分ない出来です。安心して楽しめる良作です。