- 作者: 寺村輝夫,和歌山静子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 1998/09/01
- メディア: 単行本
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「くじらのたまご」は巨大なたまごをミキサー車にに載せるというアイディアの勝利でしょう。おいしいものは大きければ大きいほどいい。すでに王さまシリーズではぞうのたまごというネタをやっていますが、たんにインフレしただけにはなっていません。
「王さまレストラン」では気まぐれでレストランを始めた王さまの恐怖体験が描かれています。「王さまを、食べちゃうぞ」とわめくお客のうさぎ、自らを料理してカツをつくるへび。おそろしいったらありません。
さて、問題なのは王さまシリーズの中でもっとも猥褻だとの評判高い「王さまのくいしんぼう」です。おなかの虫に「さあ、わたしから、食べて。王さまの、一ばんすきなものから、食べるのよ。それがしあわせというものよ。」と誘惑される不気味さ。よく指摘されるように王さまは子供です。ゆえに彼はまだ食欲と性欲が未分化の混沌とした状態にあります。それは王さまの性欲の対象であるべきとなりのくにのおひめさまがしばしば食べ物とセットになって登場することからも明らかです。そのためにこのような不可思議な味のある物語ができるのでしょう。