- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大人たちの陰謀で要一は早くもオリンピックの内定をとってしまいます。近日行われる日中親善試合が出来レースとして仕組まれていて、そこで日本のエース寺本と要一を代表に選ぶというのです。しかしそれに納得できない要一は日水連の会長に直談判に行きます。要一は親善試合に欠場すると会長を脅して、親善試合で寺本以外に600点以上を出したものがいた場合はその選手を代表に選び、いなかった場合はあらためて代表選考会を行うという約束を取り付けます。しかしこれは要一にとって諸刃の刃でした。もし600点以上出されてしまったら、選考会は行われず、要一にはチャンスがまわってきません。親善試合で健闘する知季を要一はこう応援します。
ベストをつくして飛び、その上で失敗してほしい。
どうかすがすがしく散ってくれ
三巻の肝は、クールな役どころだったはずの要一がダメな面弱い面を見せるところです。このギャップで要一は女性ファン(もしかしたら男性ファンも)の心をわしづかみにしたことでしょう。MDCでは実力ナンバーワンだったはずの彼の絶不調は次巻まで続き読者をやきもきさせます。
さらに今回、選手たちは純粋に競技に打ち込むだけでなく、大人の思惑に躍らされているという問題を持ってきました。そして大人の陰謀に子供たちが立ち向かうという燃え展開を導入しました。これでキャラクターの純粋さ(もしくはバカさ)が印象づけられ、いっそう萌えさせることに成功しています。