- 作者: 寺村輝夫,依光隆
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 1990/04
- メディア: 新書
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- 作者: 寺村輝夫
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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人類はみな兄弟、ただし白人が兄で黒人は弟。
ひとひねりした視点から編まれたシュバイツァーの伝記です。アフリカに渡った寺村輝夫は現地でシュバイツァーは日本で言われているように「原始林の聖者」「アフリカの光明」として尊敬されておらず、むしろ「植民地主義の手先」と批判されいている実態を目の当たりにします。そしてシュバイツァーの功罪を洗い直す事を決意します。
本書はシュバイツァーの黒人に対する差別的な見方を暴き立てています。さらに、「文明」国であるヨーロッパ諸国が「未開」であるアフリカに対していかに「文明」的な仕打ちをしたかを歴史を追いながら丁寧に解説しています。
「偉い人は偉いんだから尊敬しなさい」という小学校の道徳教育レベルから一歩踏みだし、物事を批判的に多角的に見る視点を養うという意味で最良の教科書になっています。戦後の児童向けノンフィクションの中で屈指の傑作といえましょう。屈指の傑作なんですけど……、やっぱり絶版ですか。現在では理論社の全集の8巻で読めますが、全集という形態では子供は手に取りにくいでしょう。フォア文庫での復刊を望みます。