「すすめ!ロボットボーイ」(中松まるは)

すすめ! ロボットボーイ (講談社青い鳥文庫)

すすめ! ロボットボーイ (講談社青い鳥文庫)

 日本橋にすむ「フツーの小学生」未来が、もらったロボットでロボット同士が戦うイベントに参加するお話です。2005年5月に行われた「ロボファイト大阪1」というイベントが下敷きになっているので、登場するロボットは現実離れしたものではなく地に足のついたものです。なんの知識もない少年がロボットを造るところから始まり、イベントに参加してロボットの楽しさに目覚めていくストーリーで、テクノロジーとか未来とかいったものに希望を持たせてくれる貴重な作品になっています。
 ロボットバトルのパートは限られた分量の中でそれぞれのロボットの個性、長所、弱点を描ききっていて、完成度の高いエンターテインメントになっています。ロボットフォースのサイトを参照すると、作中に登場するロボットのモデルや造形がわかり二度おいしいです。ラスボスはシャイニングガンダムだったのですか。それは豪快に叫んだのでしょうね。なお、このサイトではロボファイトのテーマソングも視聴できるので、「すすめ!ロボットボーイ」のテーマとしてきいてみてもおもしろいでしょう。
 自分を「フツーの小学生」だと思っていた未来が個性とはなんぞやということを学んでいく過程も丁寧に描かれおり、成長物語としてもまっとうです。
 でも一番大事なことはやはり、「必殺技はちゃんと叫んでから出せ」ということに尽きるでしょう。