「アルフレッド・クロップの奇妙な冒険」(リック・ヤンシー)

 主人公のアルフレッドは特徴的な外見をしている上、両親もいない不幸な少年です。保護者のファレルおじさんはアルフレッドを心配してこんなこととをいいます。

「おまえは要注意人物なんだよ、アル」
「あまえときたら、派手な精神疾患を引き起こしかねない、ありとあらゆる要因を抱えているじゃないか。」

 そしてアルフレッドのために精神科医を連れてきます。精神科医はアルフレッドがあらゆるものを嫌っていると決めつけようと誘導尋問を繰り広げます。
 弱者を異常者に仕立て上げなければ気が済まない多数派の欲望を、実は頭のいいアルフレッドがシニカルに見つめる序盤はいい感じでした。しかしおもしろかったのは最初の50ページくらい。エクスカリバーを巡る陰謀に巻き込まれてからは並みの冒険小説だとしかいえません。特筆すべき魅力はないです。
 ハリウッドで映画化するそうですが、映画にしてもマシになるかなあ?ダラダラ車で逃避行しているあたりで眠くなりそうです。