「ベネチア人にしっぽがはえた日」(アンドレア・モレジーニ)

ベネチア人にしっぽがはえた日 (イタリアからのおくりもの―5つのちいさなファンタジア)

ベネチア人にしっぽがはえた日 (イタリアからのおくりもの―5つのちいさなファンタジア)

 水の都ベネチア共和国の物語。1月5日の晩に子供達にお菓子やおもちゃを配る魔女ベファーナが間違えて魔法の粉をばらまいてしまったために、ベネチアの人々のおしりにしっぽが生えてしまいました。ベネチアの商人たちはしっぽ用の服や椅子を売り出しぼろもうけ。さらにしっぽのための香水屋や美容院まで現れ、すばらしい商魂を見せます。ところが「ベネチア人があつかう商品は悪魔の品だ」という噂が流れ、ベネチア経済は大打撃を受けることになります。政治家は解決策を見いだすことができず、とりあえずすべては「ユダヤ人の陰謀」だということにして、人々の不満をそらそうとしますが……。
 間の抜けた魔女や守護天使が活躍する愉快な世界が描かれています。一方でユダヤ人がゲットーに隔離されていた差別の実態も伝えています。楽しく読めて、ベネチアの文化や歴史を知る事も出来る、いい本だと思います