「シェーラひめのぼうけん 魔神の指輪」(村山早紀)

シェーラひめのぼうけん 魔神の指輪 (フォア文庫)

シェーラひめのぼうけん 魔神の指輪 (フォア文庫)

 いつかは読まなくてはと思っていたのですが、やっとシリーズの一作目に手を出しました。刊行は1997年。もちろん安野光雅装丁時代のフォア文庫です。ということはもう十年近く続いている長寿シリーズということになります。
 一巻を読んだかぎりでは、大まかなストーリーはアラビアンナイト世界で怪力お姫さまが国をすくうために7つのドラゴンボールを集める話ということになるのでしょうか。
 物語は砂漠の場面から始まります。魔法使いの少年ファリードがへたれているのに、シェーラ姫は元気いっぱいで、たまごを頭の上に乗せておけばめだまやきができるだろうとかのんきなことを考えています。そしてしまいには息も絶え絶えのファリードとろばを担いで走り出してしまいます。はじめの10ページちょいのエピソードでキャラ設定を読者の頭にたたき込み、親近感を持たせる技は見事です。また、シェーラひめに盗んだ指輪を返そうかどうか悩む盗賊の葛藤なんかも真に迫っていて読ませます。
 さて、以下十数冊を読むのにどれだけかかることやら……。