「ついらくした月」(ロバート・C・シェリフ)

ついらくした月 (冒険ファンタジー名作選(第1期))

ついらくした月 (冒険ファンタジー名作選(第1期))

 「ついらくした月」のイラストが竹本泉ですか。やはりこの岩崎書店の「冒険ファンタジー名作選」は思いきった画家の起用をしていますね。竹本泉の描くどこか虚無的な表情のキャラクターは破滅テーマのSFにあっています。しかし旧版のイラストは長新太です。オールドファンが嘆くのは仕方がありません。
 月が地球に落ちてくるという内容で、その現象のもたらした結果はあまりに荒唐無稽なものでしたが、その荒唐無稽なイメージがすばらしいです。そしてその結果にに対する人類のあまりに現実的な反応との落差。どんな災害にあってもかわらない人間の本性に対する風刺が効いています。